岐阜県海津市は、県の最南端に位置し、木曽、長良、揖斐の三大河川が合流する地域です。海抜は0〜4mと低く、古来からこれらの河川が氾濫して運ばれてきた土砂が沖積した肥沃な土壌に恵まれています。
以前は、土を盛り上げて作った「堀田」と呼ばれる田で、田舟を利用した米づくりが行われていましたが、昭和20年代から40年代にかけて排水施設の整備が進められ、「堀田」を埋め立てて水田の整備が行われ、地域の農業は大きく変貌しました。
昭和55年度からは、大型機械による大規模営農の展開や、生産調整に対応した農業基盤の整備を行うため、「国営長良川用水事業」等により再ほ場整備が行われ、1〜2ha区画の大規模な汎用化水田が整備されました。
福江営農は、水田作業の全面受託を行う地域営農組合として昭和58年に設立され、先導的稲作技術改善特別事業の認定を受けて利用集積された集落内の10haの水田で営農活動を開始し、地権者の信頼を得てその後も順調に経営規模を拡大してきました。
平成4年には、規模拡大による経営の安定化と、オペレーターの就労条件の安定化を図るため法人化するとともに、海津市の認定農業者として認定され、現在の大規模経営の基礎を築きました。
法人化後は、福江地区以外で営農組織等の担い手が育っていない集落においても、小麦・大豆の集団転作の受託を推進したり、JAと連携して農地保有合理化事業等を活用した農地利用権の設定及び水稲の作業受託を進めることでさらに経営規模を拡大し、平成17年には水稲80ha、小麦143ha、大豆143ha、水稲の部分作業受託240haの県下でも最大規模の経営を実現しており、海津地域の土地利用型農業の一翼を担っています。
さらに平成19年には、品目横断的経営安定対策へ対応するため、部分作業受託の農地についても関係機関の協力をいただきながら利用権設定を進めた結果、水稲167ha、小麦141ha、大豆155haにまで拡大しています。(H24経営面積:319ha、水稲192ha、小麦122ha、大豆126ha)
海津地域において一般的であった従来の水稲単作の体系から、現在の水稲−小麦−大豆の2年3作輪作体系を早くから確立し、大区画ほ場において品種構成と大型機械による作業分散を徹底的に進めて省力栽培技術体系を組み立て、収量・品質についても高い水準を維持することで安定した経営を実現しています。